バブル期とポストバブル期を通じて、政府は持家建設を推進し続けた。「住宅不足」のための住宅政策は、そのまま「住宅余剰」の時代に適用され、持家の大量建設は住宅デフレを加速した。この意味において、住宅資産の安全性の低下は経済要因だけではなく、住宅システムの運営に関わる政策選択の産物であった。住宅システムは「正の需要」の継起を前提としていたのに対し、住宅需要の減少は「負の需要」をもたらす。住宅に対する「負の需要」は市場の安定を損ない、住宅価格の下落、空家の増大などに結びつく。
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「住宅不足」が緩和し、「住宅余剰」が増えるにつれて、「負の需要」が住宅市場におよぼす影響が拡大した。人口減少による「負の需要」は住宅市場をいっそう不安定にする潜在力をもつ。人口が減るにせよ、一世帯当たりの人員数が減少し、世帯数が増えるのであれば、「正の需要」は持続する。しかし、国立社会保障・人口問題研究所の二〇〇八年の推計によると、世帯総数は二〇一五年の五〇六〇万をピークとし、三〇年には四八八〇万に減少する。日本の住宅建築の特質は、その価値が竣工の瞬間に最高値を示し、それ以降は落ち続けることである。