おそらく今後一〇年は、さまざまな形で企業のあり方が問われる時期であり、これまでのやり方で成長は期待できないというのが、経済評論家、各種経済研究所における共通認識のようである。昨今、平成の起業家、高成長企業トップとしてマスコミに再三登場している、話題の主たちに共通しているのは、リスクをおそれず積極的に事業展開に着手しながら、一方で、経営の原理・原則に忠実に従っているというプロフィールである。ただ、これは、従来の成長企業トップの若かりし頃にもあてはまる項目で、それ自体、決して新経営者論を語るに必須、特別なものとはいえない。が、戦後あるいは高度経済成長期に活躍したトップの多くは、ワンマンであったり、売り上げ至上主義の側面が強く、ある点で、利潤最優先が企業理念に掲げられていたといえる。時代がそうだったわけだが、物資がなく、新しい物は、砂漠が水を吸うようにどんどん吸収されていた時期でもあり、当然ながら、売り手発想でも商品は、つくる端から売れていったと考えられる。しかし、いまやモノがあふれ、ちょっとやそっとの新機軸をプラスしたくらいでは、物は流れない。好みが細分化し、需要が多岐に分かれているから、その一面に焦点を当てればそこそこ商品は売れるが、それによって飛躍的に企業が成長するほどのインパクトはない。専門家はある日突然、外資系中堅工業用メーカーの事業部長代理のポストを投げうって独立、駐車禁止看板の製作・販売を開始するわけだが、これは何に起因するのだろうか。「社長になりたかった」と、笑いながらいう。そして、看板製作・販売は、多くの起業家のように、一種のひらめき、天啓と記した。平たくいうならこれは、旺盛な好奇心に動かされたといい換えてもいいだろう。「自分の可能性を信じ、何かをやるには三三歳がタイムリミットと感じました。それが早いか遅いかは人それぞれでしょうが、人生の帳尻というのは最後には必ず合うものであり、やりたいことを先延ばしにするのは、結局、自分の可能性をゼロにしていること」と、西川は当時を述懐する。好奇心があって、自分(の世界)を大事にし、何がやれるか、やりたいかを、まず自らに問う。それが出発点となっている。現在、ユニークな経営手法で注目されている起業トップの多くは、多かれ少なかれ、このタイプが多い。これだけ物質的に豊かな世の中になって、なおかつ必要とされるのは何か。取捨選択、吟味を重ねて、「おもしろそうだ」「(自分が)楽しめそうだ」という商品、商材に的を絞った時、それが新しい発想として受け入れられている。専門家の駐車場ビジネスをみる時、強烈に個性を感じさせるのは、付加価値もさることながら、求められているものを鋭敏に嗅ぎわけ、それを自分なりにビジネスとして消化している点であろう。いわば、消費する側の発想というのが、まず前提として存在している。かつてもいまも、企業トップには先見性が不可欠とされる。が、カソと努力だけで功成り名を遂げられるほど、市場の論理は甘くないわけで、それを効率よくシステム化し、低コスト経営で損益分岐点を引き下げられる能力が必要とされる。先見性も能力のひとつであるが、それを経営地盤にどのように落とし込めるかの手法(=能力)がさらに要求されるのだ。好奇心、柔軟な発想、経営手法がひとつの環となり、新商品を生みだす。パーク24のビジネスには、まだアイデア優先、未消化の部分も多々ある。それを承知で専門家は、さまざまな角度からこれを検討、強力な商品に仕立てあげようという意志を示す。FC展開についても、専門家個人の中ではとうの昔にゴーサイソがだされているが、営業サイドの意見に耳を傾け、もっとも適切な時期を選んでいる節がある。このあたりも、かつての独裁的企業トップとの差は歴然としている。社内的コンセンサスをとり、企画を練り込む姿勢がうかがえる。これからの時代は、企画しかないという識者、経済評論家が多い。モノがあふれ、何か当たればそのコピー商品が続々と続く世の中だけに、先見の力というのは、ことのほか、大きいと考えられる。パーク24を、駐車場ビジネスのディスカウソターと規定するのはたやすい。しかしながら、内外価格差を利用したり、大量仕入れ、隙間を突く安売り商法だけで台頭した各種のディスカウソターが、早くも淘汰される傾向にあるのをみれば、システムを構築していない単なる低価格商売は、早晩、排除される運命にある。その違いは、タイムズ・パーキングだけでは、経営基盤が不安定であることを、当の西川が十分承知している点だ。六大都市を中心にした自社物件の取得、パーク&ライト十レンタカー、ホスピクルーパーキングなど企業基盤を固め、事業拡大をめざすシステム化を掌中にしながら、「早く時間貸駐車場(コインパーキング)ビジネスを卒業したい」という考え方にも、それはよく表れている。
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