アグリジェントからコルレオーネヘアダリンエンドから北ヘ一七五キロの村、コルレオーネヘ向かうことにした。コルレオーネの名は、フランシス・コッポラの映画「ゴッドファーザー」の三部作で一躍その名が知られるようになった。この映画は、もともとマフィアの本拠地のひとつとして知られていたこの村で、両親や兄をマフィアに殺された少年がアメリカに渡り、マフィアの大親分、ゴッドファーザーになるまでの、言ってみれば、暗黒街の立身出世物語である。少年の名はヴィート・アンドリーユで、移民船モシュル号でニューヨークに着いた少年は、入国管理の役人からヴィート・コルレオーネの名をつけられてしまう。少年がまったく英語を話せないため、名札に書かれてあった出身地名がそのまま本名とされてしまったのである。スクリーンでは、ヴィートが船の上からニューヨークをみつめる場面が印象的だった。九歳とは思えないほど沈着な表情を見せ、家族が次々と殺されたという悲しい過去も感じさせず、これからの数々のドラマに向かっていこうとする無言の気迫があった。ギャングの親分になるにはこうでなくては、という感じだった。シチリア行がきまった時、コルレオーネには是非足をのばしたいと思った。